サンシュユ

サンシュユ(ミズキ科)[山茱萸]

名は漢名の山茱萸を音読みしたもの。「茱萸」は本来はミカン科の薬用植物であるゴシュユのことだが、現在ではグミのことを指す。別名ハルコガネバナアキサンゴ。ハルコガネバナは牧野富太郎が提唱した名。
江戸時代享保7年(1722年)に薬用として果実が渡来し、小石川の幕府御薬園に播種されて広まった中国・朝鮮半島原産の落葉小高木で、高さ3-10mになる。葉の展開より先に樹冠いっぱいに明るい黄色の花をつける姿は遠目にはクスノキ科のアブラチャンダンコウバイとよく似ている。庭園樹や公園樹として広く植えられている。果実は生食はしないが果実酒にする。果肉を乾燥したものは漢方で解熱、滋養強壮などに用いる。材は緻密で硬いので器具材や細工物に使われる。

枝は斜上して伸び、杯状の樹形になる。樹皮は淡褐色で不規則に粗く剥げて、あとが淡褐色になる。
葉は枝先に集まって対生し、長さ4-10cm、幅2.5-5cmの広卵形~卵状広楕円形で全縁、基部はほぼ円形で先は尾状に鋭くとがる。側脈は5-7対で先に向かって湾曲する。表面は深緑色で光沢があり、裏面は灰緑色で両面脈上に毛があり、裏面脈腋に茶褐色の毛叢がある。葉柄は長さ0.5-1.5cmで伏毛がある。葉は秋に紅葉する。
花は両性ときに雄性で、葉が展開する前に短枝の先端に直径2-3cmの散形花序を出し、黄色の小花を20-30個つける。小花柄は長さ0.7-1cmで短毛がある。花序の基部に黄緑褐色で長さ6-8mmの広楕円形の総苞片が4個つく。総苞片には伏毛が密生する。萼裂片は4個、3角形で小さい。花弁は4個、長さ約3mmの長楕円状披針形で鋭頭、反り返る。雄しべは4個、花柱は1個。
果実は長さ1.2-2cmの長楕円形のグミに似た核果で、9-11月に赤熟する。核は長さ0.8-1.2cmで中央に稜がある。

セイヨウサンシュユは葉が卵形で葉裏の毛叢が目立たない。
花期:3-4月
分布:帰化(栽培)植物
撮影:2006.3.27 東京都小金井市
サンシュユ-2
遠目にはアブラチャンやダンコウバイに似る。 2020.3.3 川崎市宮前区

サンシュユ-3
短枝の先に直径2-3cmの散形花序を出す。 2023.3.15 神奈川県大和市

サンシュユの花序
1花序で20-30個の小花が咲く。花序の基部に小さな広楕円形の総苞片が4個つく。 2019.2.22 横浜市緑区

サンシュユの花
花弁、雄しべは4個。花弁は先がとがり反り返る。 2019.2.22 横浜市緑区

サンシュユの果実
秋にグミに似た実がなる。すでに翌年の花芽(擬宝珠状のもの)が準備されている。 2021.10.14 横浜市南区

サンシュユの葉
葉は広卵形~卵状広楕円形で先は尾状に鋭くとがる。側脈は先に向かって湾曲する。 2023.5.26 横浜市南区

サンシュユの樹皮
樹皮は薄片が粗く不規則に剥がれる。 2022.3.4 横浜市戸塚区


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