セイヨウタンポポ(キク科)[西洋蒲公英] |
外来のタンポポなのでこの名がある。食用としての目的もあって移入されたので別名ショクヨウタンポポ(食用蒲公英)という。 ヨーロッパ原産の多年草。札幌農学校創立の頃、野菜として栽培したものが野生化したものといわれているが、この時点ですでに複数の外来タンポポが存在したといわれており、そうであれば現在見られるセイヨウタンポポとは、「外来タンポポの総称」という言い方が適当かもしれない。実際、セイヨウタンポポといっても決して一つの形に収まるものではない。 市街地~里山はもちろん、高山の駐車場まで荒れ地にごく普通に生えている。都市周辺では最も普通にあり、最盛期は春だがほぼ一年中ぽつぽつと花が咲いており、春以外に咲いているものは外来タンポポと思って間違いない。単為生殖するため分布速度が速く、病害虫にも強い。「外来性タンポポ種群」として生態系被害防止外来種(重点対策外来種)に指定されており、日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種100」にもリストされている。 太い直根があり、花茎の高さは10-25cm。葉は全て放射状に根生し、狭楕円形で羽状に裂ける。切れ込みの程度はさまざま。 葉腋から中空の花茎を出して直径3.5-5cmの黄色の頭花を1個つける。総苞は高さ1.5-2cm、外片は色が淡い披針形で、ふつう蕾のときから下方に反り返っている。内片は濃緑色で直立、ともに先端に角状突起はない。花は150-200個の舌状花からなる。舌状花の先端には5歯がある。 痩果は灰褐色で長さ2.5-4mm。長い嘴の先に白色毛状の冠毛がつく。 現在は、やはり帰化種で種子の赤みが強く、全体に貧弱な感じがするアカミタンポポに置き換わりつつあるというが、それ以外にもヨーロッパには数多くの種類のタンポポがあり、どれが日本に入ってきているのか、どのように交雑しているのかはよく分かっておらず、今後の研究の成果が待たれるところである。環境省の調査によれば、純粋な在来種やセイヨウタンポポは少なく、雑種が85%以上と圧倒的に多いのだという。見た目では判断できず、遺伝子解析が必要となればもう「素人」の出る幕はない。 花期:3-11月 分布:帰化植物 撮影:2005.5.22 青森県八戸市 |
総苞外片は蕾のときから反り返る。 2005.5.22 青森県八戸市 |
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