シハイスミレ(スミレ科)[紫背菫] |
名は葉の裏面が紫色を帯びることによる。ただ、葉裏が紫色を帯びるスミレは、ヒナスミレやフモトスミレなどほかにもあるので、これをもって直ちにシハイスミレだと判断することはできない。 分布は西日本に偏るが、東日本でもまれに見られる。葉の形態や花の色は変化が多様なので区別が難しいものが多く、この撮影地(川崎市多摩区)でも、そこにあるものは長い間マキノスミレだと思われてきたようだ。 丘陵地や日当たりのよい乾いた林内に生える多年草で無茎性のスミレ。 根元から斜め上に葉を伸ばす。葉は長さ2-6cm、幅1-3cmの3角状狭卵形~卵形で縁に低い鋸歯があり、基部は深い心形で先は鈍頭。ふつう両面とも無毛で質はやや厚く、表面は深緑色で光沢があるものとないものがあり、裏面は紫色を帯びる。葉柄は長さ3-10cm。 根元から高さ5-10cmの花茎を立て、直径1.5cmほどで淡紅紫色~濃紅紫色の円みのある花をふつう葉より高い位置につける。花色はさまざま変化が多い。花弁は長さ0.8-1.2cmで基部がよく開き、雌しべがよく見える。唇弁には紫色の筋がある。側弁基部は無毛。距は紅紫色で細長く、長さ5-7mmで後方にやや跳ね上がる。萼の付属体は円くて低い。 表面の葉脈に沿って白斑が入るものをフイリシハイスミレ、白花品はシロバナシハイスミレという。ヒゴスミレとの交雑種が見られ、カツラギスミレという。 変種のマキノスミレは葉が披針形で先はとがりほぼ垂直に立ち、花は葉の頂点より低い位置で咲く傾向があるなどの特徴があるが、判断に迷う個体も多い。よく似たヒナスミレは葉先が急に細くなってとがる。側弁の基部はふつう有毛。 花期:3-5月 分布:本(宮城・山形県以南)・四・九 撮影:2022.3.24 川崎市多摩区 |
花は葉より高い位置で咲く。 2019.4.1 川崎市多摩区 花弁は円みがあってよく開き、花の内部がよく見える。唇弁に紫色の筋がある。 2022.3.24 川崎市多摩区 側弁基部は無毛。距は紅紫色で長い。 2022.3.24 川崎市多摩区 萼は緑褐色で付属体は全縁。 2022.3.24 川崎市多摩区 葉は鈍頭で鋸歯は低い。 2022.3.24 川崎市多摩区 名の由来になった紫色の裏面。 2022.3.24 川崎市多摩区 |
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