タシロラン(ラン科)[田代蘭] |
名は、明治39年(1906年)に長崎県北高来郡諫早町(現在の諫早市)で田代善太郎により発見されたのを記念して牧野富太郎により名付けられたもの。昭和32年(1957年)に横須賀市の鷹取山で発見されたものに初めタカトリランの名がつけられたが、後にタシロランと同種とされた。 その後関東地方南部にとどまらず、じわりと分布を北上させ、関東地方北部も越えて、福島県でも見つかるようになったのは地球温暖化が関係しているのかもしれない。 環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)であり、三浦半島でもごくまれなものだったというが、今やそう丹念に探さなくても見るチャンスは多い。平成29年(2017年)は三浦半島のあちこちで林立する多数のタシロランが見られた。豊作の年とそうでない年があるのだろうか。あるいは今後しばらくは普通に見られるのだろうか。 暖温帯の常緑広葉樹林内に生える多年生の菌従属栄養植物。塊茎から細い根茎が地中をはい、途中と先端に球状の塊茎をつくって殖える。花茎は白茶色で、塊茎から出て高さ20-50cmになる。 膜質の鞘状葉が数個、花茎にまばらにつく。 よくギンリョウソウを見て薄気味悪いという人がいるが、林立するタシロランのほうが数倍気味悪い。 総状花序に長さ1-1.5cmの白色花を多数つける。苞は長さ0.8-1.2cmの広披針形で膜質。萼片と側花弁は長さ8-9mm。萼片は狭披針形、側花弁は長楕円状披針形でいずれも先はとがる。唇弁は蕊柱の基部につき、萼片と同長の広卵形でほぼ全縁。唇弁の背面が著しく膨れ、内面の中央付近に紅紫色のとさか状突起が2条ある。距は長さ4-5mmの長楕円形で太い。蕊柱は短く、柱頭は幅広い。葯は肥厚して背面に2室あり、各室に1個の粉質の花粉塊を入れる。 果実は長さ0.8-1cmの楕円形の蒴果。 花期:5-7月 分布:本(福島県以南)・四・九・沖 撮影:2017.7.6 横浜市戸塚区 |
2020.7.2 川崎市多摩区 花は白く、あまり開かない。唇弁に赤紫色の斑点がある。 2017.7.6 横浜市戸塚区 薄暗い林下にまとまって生える。 2020.7.2 川崎市多摩区 |
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