ギンリョウソウ(ツツジ科)[銀竜草] |
全体の形と鱗状の鱗片葉を竜の姿に見立ててこの名がある。山中で出会うと半透明の異様な姿を気味悪く思う人も多く、キノコを思わせる姿からユウレイタケ(幽霊茸)の別名もある。 山地の薄暗いやや湿り気のある腐植土の上に生え、茎は円柱状で数本~数十本がまとまって直立し、高さ5-20cmになる1年生の菌従属栄養植物(菌寄生植物)。 全体が葉緑素をもたずやや透き通った白色で、養分はベニタケの菌糸に一方的に寄生して得る。一方でベニタケは樹木と共生関係にあり、ベニタケは樹木から養分をもらっている。ということは、ギンリョウソウは菌糸を介して樹木の根からも養分を得ていることになる。 ギンリョウソウは、光合成をしないので明るさは必要としない。しかし受粉は必須なので、ポリネーター(送粉者)を呼ぶためはどうするか。そこで考えたのが、体を半透明にし、弱い光を乱反射させて白く目立たせることだと考えられる。 根はベニタケの菌糸と複合して菌根をつくり、球状の塊となる。 葉は退化して鱗片状になり、長さ0.7-1.5cm楕円形で、茎の下部は密に、上部はややまばらに互生する。 花は茎の先に斜め下向きに1個だけつき、長さ1.5-2.5cmの筒状鐘形。萼片は葉と同形の鱗片状で全縁、1-3個つく。花弁は肉質で全縁、3-5個つく。雄しべは10個で花冠より短く、葯は黄色。雌しべの柱頭は先は広がり、縁は紫黒色を帯びる。萼片や花弁は果期に残る。 果実は白色で直径1-1.5cmの球形の液果。黒い柱頭が残り、「目玉親父」にそっくりになる。横向きにつき、熟すと倒れて数千粒の種子を散らす。種子はとても軽く、千粒で1グラムしかないという。 秋(9-10月)によく似たものに出会うことがあるが、ギンリョウソウモドキといって別種。花弁と萼片に短毛が密生し、縁は細裂する。全体が黄褐色のシャクジョウソウは、4-8個の花をつける。 花期:5-8月 分布:日本全土 撮影:2005.6.25 秋田県大仙市 |
葉緑素をもたず、全体がやや透き通った白色。 2006.6.25 秋田県にかほ市 葉は退化して鱗片状になる。 2005.6.25 秋田県大仙市 萼片は葉と同形の鱗片状、花弁は肉質。 2011.6.4 秋田市 |
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