ウサギギク(キク科)[兎菊] |
名の由来は、雪解け後に茎の根元につく2個の葉が立って伸び、それをうさぎの耳に見立てたとか、うさぎが好んでこの葉を食べるからだとか、うさぎが群れているようなところに生えているからだとか諸説あるが、「うさぎの耳」説が一番納得がいく。花の色と形から別名キングルマ(金車)ともよばれる。 夏山の登山道脇で、高山植物には珍しく大きく鮮やかな黄色の花をつけて咲いており、印象が強く覚えやすいためか、高山植物にあまり興味を示さない登山者でもこの花の名前ぐらいは知っているようだ。よくチングルマと混生している。 日当たりのよい高山帯の雪田周辺の湿った草地や礫地に生える多年草。全体に短い縮毛が密生する。茎は分枝せずに直立し、高さ15-35cmになる。根茎は太く、長く横にはう。 根生葉は花時には枯れていることが多い。茎葉は2-3対が対生し、下部のものは長さ6-12cm、幅2-4cmのさじ形で縁に小さい鋸歯があり、先は鈍形で基部は狭まって柄に続き茎を抱く。質はやや厚く、5脈がある。中部のものは少なく、対生ときに互生し、卵状披針形で先は鈍形で基部は無柄で茎を抱かない。 花茎の先に直径3.5-6cmのひまわりを小さくしたような鮮黄色~橙黄色の花を上向きに1個だけつける。総苞は半球形、総苞片は披針形で2列に並び、草質。頭花は外側1列の舌状花と中の筒状花からなり、筒状花は両性、舌状花は雌性でいずれも実る。筒状花の花冠は暗黄褐色、長さ6-7mmで筒部に短い軟毛が散生し、先は5裂してときに裂片にも毛がある。葯は黒紫色、花柱は2裂し花柱の枝は鈍頭。舌状花は長さ2cm、幅5-8mmで先は3浅裂する。 痩果は長さ4-5mm、幅1mmの円柱形で細毛があり、切頭。冠毛は汚褐色で1列、長さ5.5-7mmで毛には微短毛がある。 舌状花が2-3列ある品種をハンヤエウサギギクという。筒状花の筒部に毛がなく、全体にやや毛が多いものをエゾウサギギクというが、外観での判別は困難。北海道ではウサギギクは少なく、エゾウサギギクのほうが多い。北海道の一部に分布し、オオウサギギクとよばれているものは、茎が花序以外は無毛で茎葉が10対以上対生し、上部で分枝して3-5個の頭花をつける。 また、ウサギギクとチョウジギクの雑種も見出されており、茎に白毛が密生して頭花を数個つけるところはチョウジギクから、頭花に小型で少ないながら舌状花をつけるところはウサギギクから形質を受け継いでおり、発見場所からガッサンウサギギクとよばれている。 花期:7-9月 分布:北・本(中部地方以北) 撮影:2008.8.3 長野県白馬村 |
ウサギの耳のような葉をつける。 2015.7.10 岩手県八幡平市 礫地でよく見かける。 2001.8.18 青森市 ヒマワリを小さくしたような頭花だが、舌状花の先は3裂する。 2004.7.16 静岡市葵区 |
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