ヤマネコノメソウ

ヤマネコノメソウ(ユキノシタ科)[山猫の目草]

名に「ヤマ」がつくが、山には少なく、人家近くのやや湿った林内や石垣に多く生える多年草。花茎は多汁で長毛を散生し、直立または下部が地をはい高さ10-20cmになる。ネコノメソウ属では最も分布域が広く、生育適地も広い。
茎の基部はやや膨らみ、花後に有毛、汚れた紫色で楕円形のむかごができる。走出枝は出さない。夏に枯れるが、秋に根生葉を出して越冬する。
根生葉は長さ2-7cmの柄があり、長さ0.5-2cm、幅0.8-3cmの腎円形で基部は心形、縁に7-11個の浅くて先が平らな鋸歯がある。茎葉は1-3個が互生し、長柄があり腎円形~卵円形で基部は浅い心形~切形、縁に浅い平らな鋸歯がある。
茎頂に多数の花をつける。花の下の苞は緑色、卵形で基部は切形~くさび形。花は直径4-5mmでほぼ無柄、花弁はなく萼裂片は黄緑色で花後に緑色になり、長さ1.3mmほどの倒卵形で花時に平開するが花後に直立する。花盤は緑黄色。雄しべは8個、地域によっては4個で長さ0.5mm。裂開直前の葯は黄色。花柱は花時に斜開し、果時には水平となる。
果実は蒴果で縦に裂開する。種子は褐色で長さ1mmに満たない楕円形で多数。種子を載せた裂開した果実を上から見ると猫の目によく似ている。種子は落ちてきた雨粒の衝撃によって散布される(雨滴散布)。

ヨツシベヤマネコノメは雄しべは4個で全体に小さいものをいうが、雄しべの数は同一集団内でも一定していないので明確な区別は困難。ただ、地域によって偏りがあるのか、首都圏で見られるものはほぼ全て4個。
ネコノメソウは流れのそばに生えるが、ヤマネコノメソウはそれほどの水分は必要としない。
花期:3-4月
分布:北・本・四・九
撮影:2003.5.11 青森県南部町
ヤマネコノメソウ-2
2002.4.21 岩手県二戸市

ヤマネコノメソウ-3
雄しべは8個または4個だが、神奈川県で見られるものは全て4個。 2020.2.6 横浜市磯子区

ヤマネコノメソウの種子
裂開した果実から現れた種子。雨粒ではじき飛ばされる(雨滴散布)。 2018.4.10 東京都八王子市

ヤマネコノメソウ-4
茎葉は1-3個が互生する。 2023.3.15 神奈川県厚木市

ヤマネコノメソウ-5
茎には縮れた長い毛が散生する。 2022.3.15 神奈川県厚木市

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