ヤツデ

ヤツデ(ウコギ科)[八手]

名は葉が掌状に数多く裂けることによる。八手の八の字は数が多いことを表すことばで、実際は8個には裂けず、7・9・11と奇数に裂け、幼木は3・5裂する。日陰に強いのでかつては日当たりの悪い庭によく植栽されていた。

暖地の海に近い林下に生え、高さ1-3mになる雌雄同株の常緑低木。株立状になり、あまり枝分かれしない。
樹皮は灰褐色で縦に長い皮目があり、茎の上部には多数の葉痕が目立つ。若い枝は緑色で褐色の長毛が生え、2年目の枝から灰白色になる。
葉は長さ15-45cmの長い柄があって互生し、枝先に集まってつく。葉身は直径20-40cmで掌状に奇数裂し、基部は浅い心形、裂片はやや粗い鋸歯があり先はとがる。質は厚く無毛で光沢があるが、若葉は褐色の毛が密生する。葉は2年で柄ごと落ちる。
茎の先に直径2-3cmの球状の散形花序を円錐状に多数つける。小花は白色、直径5mmほどで芳香がある。上部の花序に両性花、下部の花序に雄花をつける。花弁は平開し長さ3-4mmの卵形で5個、雄しべは5個で葯は白色、花柱は5個。両性花は雄性先熟。萼筒は長さ3mmの鐘形。
果実は直径0.7-1cmの扁球形の液果で、翌年の春~初夏に紫黒色に熟す。種子は長さ4-5mmの扁平でゆがんだ楕円形。

ヤツデ属にはほかにムニンヤツデとリュウキュウヤツデがある。帰化植物で似ているカミヤツデは、葉が直径0.4-1mと大型で裂片の先がさらに2裂する。花は4数性。
花期:10-11月
分布:本(山形・福島県以西)・四・九・沖
撮影:2014.11.30 横浜市中区
ヤツデ-2
2015.10.20 神奈川県横須賀市

ヤツデの雄花
雄花。雄しべは5個。 2021.11.19 横浜市栄区

ヤツデの両性花
両性花。初冬に開花する。すでに雄性期を過ぎて花柱が伸びてきている。 2016.10.26 神奈川県横須賀市

ヤツデの両性花-2
雌性期の両性花。 2021.11.19 横浜市栄区

ヤツデの新芽
若葉は褐色の毛が密生する。 2018.4.9 神奈川県藤沢市

カクレミノに戻る カミヤツデに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。