ヨツバシオガマ

ヨツバシオガマ(ハマウツボ科)[四葉塩竈]

名はシオガマの仲間で葉がおおむね4個輪生することからついたもの。
近年の分類学的な再検討により、従来ヨツバシオガマとよばれていたものは、日本において本州中部から北に生える北方系のエゾヨツバシオガマと、本州中部~東北地方南部(月山)に生える南方系のヨツバシオガマの2つのグループに大別されることが示された。これによれば、分布の重なる山域も存在するので注意が必要となるようだ。

亜高山帯~高山帯の湿り気のある草地に生える半寄生の多年草で、茎は紫色で稜上に微毛が生え、高さ10-40cmになる。寄主はイネ科やカヤツリグサ科の植物。
葉は茎の節ごとに1-3段、3-4個ずつ輪生するが、栄養状態により幅がある。長さ2.5-6cm、幅1-3cmの3角状広披針形で羽状に全裂し、裂片は7-12対でさらに浅く裂ける。下部の葉の柄は長く、上部のものはほぼ無柄。
茎の上端の総状花序に、ふつう4個ずつ輪生状に2-7段、紅紫色の花をつける。花序は無毛。花冠は2唇形で、上唇は長さ7-9mmのかぶと形で中ほどで下向きに曲がって先は長さ4-5mmの嘴状にとがる。下唇は3深裂する。萼は球状壺形で5裂し無毛。
マルハナバチは花に下からしがみつき、羽で花を振動して花冠の中に隠れた花粉を腹で受け取る特技をもっていて、これができるのはマルハナバチだけだという。つまり送粉をマルハナバチだけに頼っているらしい。

白花品はシロバナヨツバシオガマという。
北方系のエゾヨツバシオガマは南方系のものと区別され、輪生状に7-20段花をつけ、花冠筒部は萼との境で明らかに曲がる。キタヨツバシオガマ(ハッコウダシオガマ)とよばれていたものもこれに含まれる。礼文島産で花が15-30段つくものをレブンシオガマとよぶことがある。
ミヤマシオガマは葉が羽状に細かく切れ込み根元から束になって出る。個体数はヨツバシオガマが一番多く、最も普通に見かける。
花期:6-8月
分布:本(東北地方南部月山~中部地方)
撮影:1999.7.23 長野県小谷村
ヨツバシオガマ-2
花序は2-7段程度と少ない。 1998.7.20 富山県大山町

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