ミヤマシオガマ

ミヤマシオガマ(ハマウツボ科)[深山塩竈]

タカネシオガマとともに、シオガマギクの仲間で高山に生えるのでこの名がある。「ミヤマ」と「タカネ」は単に区別するためについたものだろう。シオガマギク属は以前はゴマノハグサ科であったが、APG分類体系ではハマウツボ科に移された。

高山帯の礫地や草地に生える半寄生の多年草で、根際で分枝して高さは5-20cmになる。茎に白色の長い軟毛が散生する。
根生葉は多数が叢生し、長さ4-7cm、幅1-3cmの長楕円形で羽状に10-20対に全裂し、裂片はさらに羽状に深裂、少数の鋭鋸歯がある。両面ともほぼ無毛で葉柄は長さ2-7cm。茎葉は0-2個が互生し小さい。
茎の上部に紅紫色の花を総状に10-20個密集してつける。苞は葉状。花冠は長さ2-3cmの2唇形で、上唇は長さ1cm余りのかぶと状で先は円くとがった嘴はなく、先端の下部に2個の刺状突起がある。下唇は上唇よりやや短く、水平に広がり、3深裂し中央裂片が小さい。萼は長さ1cm、幅5mmの筒形で白い軟毛が生え、5中裂し裂片は狭披針形で短い鋭鋸歯があり、しばしば2-3裂する。
果実は長さ1-1.5cm、幅4-5mmの扁卵形の蒴果で上向きにつく。

白花をつける品種をシロバナミヤマシオガマという。
高山で見られるシオガマの仲間は、このほかにタカネシオガマ、ヨツバシオガマエゾシオガマ、北海道にあるキバナシオガマが主なもの。ミヤマシオガマとタカネシオガマは慣れないと区別が難しいが、ミヤマシオガマは葉がニンジンのように羽状に二重に細かく裂け、根元から束になって出るのに対し、タカネシオガマは葉が細かく裂けない。花もミヤマシオガマは頂茎部に大きな花を総状にまとめてつけるのでほかと区別できる。また花期もかなり早い。
花期:6-7月
分布:北・本(中部地方以北)
撮影:2001.6.16 岩手県大迫町
ミヤマシオガマ-2
根生葉は多数が叢生し、羽状に全裂し、裂片がさらに羽状に深裂する。 2001.6.16 岩手県大迫町

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