ドクウツギ

ドクウツギ(ドクウツギ科)[毒空木]

名は、ウツギに似ているが有毒なことからついたもの。 全体が有毒成分のコリアミルチン、ツチンを含み、果実が特に強く、食べると死に至る。山形県では一郎兵衛殺し(いちろべごろし)、富山県ではうじころし、ねずみころし、山梨県ではなぶくだきなど、各地で多数の方言がある。

山野の日当たりのよい岩礫地や荒れた河原などに生える雌雄同株異花の落葉低木で、下部でよく横枝を出し、高さ1-2mになる。根にはハンノキ属やグミ属と共通する根粒があり、根粒には放線菌が繁殖し空中窒素を固定する作用があるため、やせた土地でもよく育つ。
枝は無毛で4稜があり、長く伸びて垂れる。樹皮は褐色で皮目が多い。
1本の小枝に15-18対の単葉が平面に2列に並んで対生し、羽状複葉のように見える。葉は長さ6-8cm、幅2-3.5cmの卵状長楕円形で全縁、先は次第に細くなってとがり、基部は円くほぼ無柄、基部から長く伸びる3行脈が目立つ。両面とも無毛。花序の基部につく葉は卵形~円形。
前年枝の葉腋から雄花序と雌花序が同じ節から総状に出て、小さな花を多数つける。花は風媒花で多量の花粉を放つ。花弁と萼片は5個。雄花序は長さ2-5cm。雄花では萼片は長さ3.5mmの広卵形、花弁は長さ0.7mmで内側に稜がある。雄しべは10個で花糸は長さ6.5mm、葯は黄色で長さ2.5mm。雌花序は長さ6-15cm。雌花では萼片は長さ2mmの広卵形で鈍頭、花弁は長さ0.7mmの楕円形、花柱は5個あり紅色で長さ2mm。花後に花弁が大きくなって子房を包む。
果実は直径6-8mmで5個の分果からなり、液質となった花弁に包まれた赤色から紫黒色の甘みのある液果状に熟す。分果は長さ3-5mmの腎形の痩果で縦に隆起した太い脈があり無毛。
花期:4-5月
分布:北・本(近畿地方以北)
撮影:2004.6.13 青森県三厩村
ドクウツギの花序
雄花序と雌花序は同じ節から出る。雄花序は短い。 2018.4.4 横浜市栄区

ドクウツギの雌花
雌花序。花柱は紅色。 2018.4.4 横浜市栄区

ドクウツギの雄花
雄花序。垂れ下がった雄しべが目立つ。 2018.4.4 横浜市栄区

ドクウツギの葉
羽状複葉のように見えるが、小枝に単葉が2列に対生したもの。 2020.6.4 横浜市栄区

ドクウツギの葉-2
2021.6.2 花序付近ではほぼ円形の葉をつける。 2021.6.2 横浜市栄区

ドクウツギの果実
多数の果実がつく。 2024.5.21 横浜市栄区

ドクウツギの果実-2
果実は赤色から紫黒色に熟す。未熟な果実のほうが毒性は強いという。 2018.6.5 横浜市栄区

ドクウツギの果実-3
果実は花弁が膨らんで子房を包んだもの。 2018.6.5 横浜市栄区

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