ヒヨドリジョウゴ

ヒヨドリジョウゴ(ナス科)[鵯上戸]

果実は有毒だがヒヨドリが好んで食べることからこの名があるといわれる。鳥が毒に当たらないのかどうかという疑問も湧くが、実が有毒なのに鳥が好むものはヨウシュヤマゴボウドクウツギなど、いくつもある。別名ホロシ(保呂之)という。

人家近くの山野の半日陰~日陰になるやぶや林縁に生えるつる性の多年草。長い根茎がある。全体に腺毛が多く生え、茎は細長いつるとなって葉柄で他のものにもたれかかって伸びる。葉は長さ1.5-4cmの柄があって互生し、長さ3-10cm、幅2-6cmの卵形で先はややとがり、基部は浅い心形。葉柄と葉身の両面に密に軟毛が生える。下部の葉は1-2対羽状に中~深裂し、大小不同の3-5片になる。
葉と対生してまたは茎の途中からまばらに枝分かれした集散花序をつけ、白色~淡紫色で直径1.2cmほどの花をつける。萼は皿形で5浅裂し、裂片は低い3角形で鈍頭。花冠は長さ約5mmの皿形で5深裂し、裂片の先はとがり背面に反り返る。花冠喉部に緑色の斑紋がよく目立つ。雄しべは5個で、集まって花柱を囲む。花糸は太くて短く、葯は黄色~黒褐色、長さ約3mmの楕円形で上部に穴が開いて花粉を出す。子房は2室で花柱は長い糸状。
果実は球形の液果で直径約8mm、鮮紅色に熟す。種子は扁平な扁円形で、種子にへこんだ網目模様がある。

全草、特に果実にジャガイモの新芽にも含まれるステロイドアルカロイドであるソラニンを含み、誤食すると嘔吐、腹痛、呼吸中枢麻痺などが起こる。薬用として全草を乾燥日干ししたものを解熱や解毒、利尿に用いる。福島県の民間療法として帯状疱疹に酢漬けにしたものを患部に塗布する。生の青汁はウルシかぶれに用いる。
まれに果実が黄色に熟すものがあり、キミノヒヨドリジョウゴという。
マルバノホロシは明るい草地や林縁に生え、葉は長楕円形で無毛、葉柄に翼がある。
花期:8-9月
分布:日本全土
撮影:2018.9.11 横浜市栄区
ヒヨドリジョウゴの花
花冠喉部に目立つ緑色の斑紋がある。 2002.9.22 東京都杉並区

ヒヨドリジョウゴの葉
下部の葉は3-5個に裂ける。 2018.9.11 横浜市栄区

ヒヨドリジョウゴの茎や葉柄
全体に腺毛が多く生え、葉柄、葉の両面には軟毛がある。 2017.9.7 神奈川県横須賀市

ヒヨドリジョウゴの果実
果実は球形で鮮紅色に熟す。 2018.10.24 横浜市栄区

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