ヨウシュヤマゴボウの果実

ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)[洋種山牛蒡]

ヤマゴボウの仲間で帰化種なのでこの名がある。別名アメリカヤマゴボウという。 ヤマゴボウは数が少なく、ほとんど見かけない。また観光地でヤマゴボウの名で売られているものは、モリアザミやフジアザミの根か野菜のゴボウで、本種とは全く別物。

明治時代の初めに渡来した北アメリカ原産の大柄な多年草で、道端や空き地に普通に見られ、茎の中ほどから上で枝を四方に出して高さ1.5-2.5mに達する。駆除してもきりがないほどで、毎年庭に出現し、少し草取りを怠っていると大きく育っていて抜き取れず、仕方なく地際で切る羽目になるが、多年草なのでまた来年生えてくるといったイタチごっこになる。茎は初め緑色だが、果実が熟す頃に真っ赤に変化する。茎の断面は中空で横膜がある。根は太いゴボウ状。
葉は長さ2-6cmの柄があって互生し、両面とも無毛で長さ10-30cm、幅5-16cmの卵状長楕円形で全縁、基部はくさび形で先は鋭くとがる。
花序は葉と対生してつき、長さ6-20cmの総状で長い柄があり、花柄は長さ0.7-1cm。花は花序の基部から先に向かって咲き進み、直径4-6mmで花弁はなく、白色で僅かに紅色を帯びた5個の花弁状の萼片がある。萼片は長さ2-2.5mmの卵円形で鈍頭、果時まで残る。雄しべは10個で葯は白色、子房は緑色で球形、心皮は10個で合生する。先端に短い10花柱がある。
果序は下垂し、果実は直径7-8mmの扁球形の液果で紫黒色に熟し、種子は黒色で直径2.5-3mm、扁平で平滑、光沢がある。

果実の黒と茎の赤のコントラストはいかにも毒々しく、実際に果実と根にフィトラッカトキシンを含む毒草であるが、鳥にとっては魅力的に映るようで、熱心についばんでいる姿を見かける。アメリカではink berryとよばれ、果実の汁は赤色で、衣類に付くと容易には洗い落とせない。誤食すると嘔吐、下痢、麻痺が起こり、死に至る。春の芽出しは少量を食用にする人もいるが、危険なのでやめた方がいい。
花期:6-9月
分布:帰化植物
撮影:2002.10.20 青森県八戸市
ヨウシュヤマゴボウの花
花は基部から咲き進む。 2006.7.23 青森県八戸市

ヨウシュヤマゴボウの花-2
花弁はなく、5個の花弁状の萼片がある。雄しべは10個、子房は緑色で球形、先端に短い10花柱がある。2022.7.8 神奈川県鎌倉市

ヨウシュヤマゴボウの葉
葉は全縁。 2019.7.10 神奈川県小田原市

ヨウシュヤマゴボウの若い果実
まだ緑色の若い果実。 2006.8.20 秋田県大仙市

ヨウシュヤマゴボウの果実
熟した果実。有毒。 2019.10.18 横浜市金沢区

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