ガマズミ(ガマズミ科)[莢蒾] |
名の由来は定説がなく、諸説論じられているがここでは詳説しない。全体に毛が多いので別名アラゲガマズミという。 ガマズミ属は新エングラー体系ではスイカズラ科であったが、APG分類体系ではレンプクソウ科に、さらに2017年の国際植物学会議での決定によりレンプクソウ科は消滅し、ガマズミ科の名称を用いることになった。 山野の林縁などに普通に生える落葉低木で、高さ1.5-4mになる。樹皮は灰褐色で皮目があり、若枝は灰緑色で星状毛と開出毛がある。 葉は対生し、長さ6-14cm、幅3-13cmの広卵形~円形で縁に波状の鈍鋸歯があり基部は広いくさび形~円形でときに浅い心形、先は急にとがる。表面には短毛があってざらつき、裏面も有毛で特に脈上に短毛が多い。葉柄は長さ1-3cmで短毛や星状毛が密生する。葉の形質は変異が大きい。托葉はない。 本年枝の先から直径6-10cmの散房花序を出して、白色で特有の匂いのある小さな花を多数密生して1つの花のように見える。花序の柄や小花柄に長毛がまばらに生え星状毛が混じる。萼片は5個で広卵形。花冠は直径5-8mmで先が5深裂して平開する。裂片は広卵形~半円形。雄しべは5個あり花冠から離生し直立して花外に長く突き出る。葯は黄白色。花柱は1個で柱頭は浅く3裂する。 果実は核果で長さ5-7mmのやや扁平な球形~卵状楕円形。9-11月に赤く熟し、霜にあたると白粉をかぶり甘くなって食べられる。核は長さ5-6mmの卵球形で扁平、5個の稜がある。果実にはしばしばガマズミミケフシタマバエというハエの一種が寄生し、カビが生えたように見える虫癭(虫こぶ)ができる。 果実は果実酒としてよく利用される。奥羽地方ではガマズミのことをジョウミとかジョミ、ゾウミなどといい(染実の転訛という説もあるが、酢実[ズミ]の転訛だと思う)、さまざまな健康効果が知られているポリフェノールを豊富に含むことから、青森県三戸町では町おこしの一つとして栽培し、果汁を販売している。ただ常用するにはかなり高価なので、広く普及するまでには至っていないのが現状。 よく似たコバノガマズミは福島県以西に生え、葉が小さくて細長く、葉柄が長さ6mm以下で托葉がある。開花時期は4月上~中旬に咲き出し、ガマズミより1か月ほど早い。 ミヤマガマズミは葉は無毛で鋸歯が角張って目立ち、先が尾状に伸びて急にとがり、花冠の直径が6-8mmと少し大きい。 花期:5-6月 分布:北(西南部)・本・四・九 撮影:2016.5.13 横浜市戸塚区 |
半球状に花序をつくる。 2016.5.13 横浜市戸塚区 5個の雄しべが長く突き出る。 2019.5.13 横浜市金沢区 鋸歯は波状で低く、葉先はミヤマガマズミのように長く伸びることはない。 2010.6.13 秋田県にかほ市 果期。 2018.11.8 横浜市戸塚区 果実。 2016.10.21 横浜市戸塚区 果実にできた虫癭(ガマズミミケフシ)。表面がカビが生えたような短毛で被われる。 2018.9.11 横浜市栄区 |
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