ホトケノザ(シソ科)[仏の座] |
対生する葉を仏像の台座のうちの蓮華座(連座)に見立ててこの名がついた。なお、春の七草のホトケノザとは本種ではなく、キク科のコオニタビラコのこと。紛らわしいので、牧野富太郎はサンガイグサとよぶことを勧めた。サンガイグサは「三階草」で、葉が段々につくことから。 有史以前の古い時代に渡来した史前帰化植物だといわれている。まだあまり花が少ない早春の野を代表する花の一つで、オオイヌノフグリやヒメオドリコソウ、ヒメウズなどと咲き競う。不時開花(狂い咲き)をすることがあり、初冬の小春日和の日にぽつりと咲いているのを見ることもある。 道端や畑に普通に生え、ときに一面に群生する越年草で、茎は赤みを帯びて4稜があり細く、基部で分枝して高さ10-30cmになる。 葉は対生して下部の葉は長い柄があり、茎の中部以上の葉は段状につき、無柄で長さ幅とも1-2.5cmの半円形で、対生した2個の葉によってまさに仏像の蓮華座とそっくり。両面に粗い毛があり、縁には鈍鋸歯がある。 上部の葉腋に長さ2cmほどの鮮やかな紅紫色の唇形花を数個輪生状に直立するが、さらに濃い赤の閉鎖花も多数つける。肥沃なところでは解放花はあまり咲かず、閉鎖花の中で雄しべが自分の花粉を雌しべに渡して自家受粉してしまう。自家受粉はデメリットもあろうが、確実に子孫を残す一つの方法ではある。花冠は筒部が長く、長さ1.7-2cm。上唇はかぶと状で外面に開出毛が密生する。下唇は3裂し、中央裂片だけが大きく、2裂して基部は細くなる。各裂片に紫色の斑紋がある。萼は長さ5mmほどで密に毛があり、先端は5裂する。雄しべは4個で下の対が長く、上唇の内側に沿って斜上する。 果実は長さ2-2.5mmの4分果で、分果は3稜があり表面に白斑が散らばり、基部にアリが好むエライオソームがついていてアリに運ばれる。 純白の花をつける品種は、シロバナホトケノザという。 花期:2-5月 分布:本・四・九・沖 撮影:2006.3.27 東京都調布市 |
上唇は外面に毛が多い。開口部の上唇側に僅かに葯が見えている。 2018.2.21 横浜市中区 対生する葉を仏の蓮華座(連座)に見立ててこの名がついた。 2015.3.4 横浜市中区 野生の花が少ない冬には何度でもカメラを向けたくなる。 2020.2.20 神奈川県大磯町 菜の花の手前がホトケノザ群落。 2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市 |
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