カキノキ

カキノキ(カキノキ科)[柿の木]

名の由来は、朝鮮語由来説、赤き実のなる木(赤木)の上略説など諸説あるが定説はない。別名カキ。学名はDiospyros kaki Thunb.で、属名Diospyrosは神々の食べ物の意、種小名kakiは和名から。中国原産で奈良時代に渡来したと考えられ、果樹として広く栽培され、本州~九州で野生化している。

雌雄同株の落葉高木で、幹はやや曲がりながら上部で枝を分け、高さ5-10mになる。樹皮は灰黒褐色で若木から網目状に裂けて、次第に剥がれおちる。若枝はやや縮れた淡褐色の開出毛がある。
葉は互生し、長さ7-17cm、幅4-10cmの広楕円形~卵状楕円形でふつう全縁、まれに上部に細鋸歯があり、基部は円形~広いくさび形、先は急にとがる。表面は濃緑色で光沢があって脈上に毛があり、裏面は灰緑色で全面に褐色の毛があり、特に脈上に多い。葉柄は長さ1-1.5cmで毛がある。葉は秋に紅葉する。
本年枝の葉腋に淡黄色の花をつける。雄花は数個ずつついて萼は小さくて目立たず、花冠は長さ0.5-1cm、幅5mmの鐘形で4裂して裂片は反り返る。雄しべは16個。雌花は葉腋に単生し、萼は4裂して裂片は長さ1-1.6cm、幅1-1.5cmの広卵形で開出し、縁はやや反り返る。花冠は長さ1.2-1.5cmの広鐘形で退化雄しべが8個あり、雌しべは1個で花柱は4裂し、無毛の子房が大きく膨れる。
果実は多肉な液果で10-11月に黄赤色に熟す。形は卵形、球形、扁球形など品種によって異なり、大きさもさまざま。
江戸時代には400を超える数の品種があったという。富有柿や次郎柿などの甘柿と甲州百目や平核無などの渋柿があり、甘柿は日本にしかないが、寒冷地では甘くならない。渋柿は渋抜きをするか干し柿にすると甘く食べられる。渋柿は柿渋を採取して雨合羽や渋紙、塗料などに利用する。材は折れやすいが、硬いので家具や器具材として用いられ、特に黒色のものは黒檀の代用として珍重される。実はカロチンを含み、利尿効果があって二日酔いに効く。へたは漢方で柿蒂(してい)とよび、しゃっくりや夜尿症に用いる。渋柿はしもやけに塗布する。干し柿の表面の白粉を柿霜餅(しそうへい)とよび、去痰・咳止めに用いる。カキの葉で作る柿の葉茶は止血・血圧降下作用がある。
木守柿(きもりがき)といって1個または数個、赤い実を収穫せずに残しておく風習は、たくさんの実をつけてくれた木への感謝、神への供え物、鳥への思いやりなどの意味がある。

ヤマガキは山地に自生するが、本来の自生かどうか分かっていない。葉がやや小さく、枝や葉の毛が多い。雌花の子房は有毛。マメガキは果実が長さ2-3cmと小さく、葉は薄くてやや小さく、基部と先端は細い。リュウキュウマメガキは果実が小さく、若枝が無毛、葉裏は緑白色、葉柄が長く1.5-2.5cm。
花期:5-6月
分布:帰化植物
撮影:2023.11.30 横浜市南区
カキノキ-2
雄花。 2022.5.25 神奈川県大和市

カキノキの花
雄花。先は4裂する。 2022.5.25 神奈川県大和市

カキノキの果実
果実の大きさや形は品種によってさまざま。 2023.11.30 横浜市南区

カキノキの葉
葉の基部は円形。 2022.5.25 神奈川県大和市

カキノキの樹皮
若木の樹皮。網目状にひび割れる。 2023.10.18 横浜市南区

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