キリンソウ(ベンケイソウ科)[黄輪草・麒麟草] |
花が黄色く輪のように咲くからという説があるが、「き・りん」は湯桶読みであり、何か不自然さを否めない。牧野富太郎は意味は不明としており、深津正は茎葉の多肉性を、肉に包まれた麒麟(動物園で見るキリンではなく、想像上の動物)の角に見立てたとしている。 海岸や山地の岩上などに生え、高さ20-50cmになる変異の多い多年草。太い根茎から肉質で直径2-3mmの円柱形の茎を叢生する。 葉は多肉質、無柄で互生し、長さ2-5cm、幅0.8-2cmの広倒披針形~広倒卵形で先は円頭~鈍頭、上半部に鈍鋸歯がある。葉の形は変異が多く、海岸にあるものは葉が大きく、幅が広い傾向がある。 茎頂の3出の集散花序に直径1.5cmほどの花が10-30個やや密につく。花序には葉状の苞がある。萼筒は長さ1-2mmで萼裂片の1/2~2/3。萼裂片は5個、長さ2-4mmの線形~広線形で花時には直立する。花弁は濃黄色で5個、長さ6-7mmの披針形で鋭頭、花時に開出する。雄しべは10個、長さ5-7mmで直立し、裂開直前の葯は濃黄色、ときに赤紫色となる。雌しべは長さ5-7mm、子房は長さ3-4mm。花柱は細長く、長さ2-3mm。心皮は果時に各心皮の腹側が膨らむため斜開する。 果実は袋果。 丈が30-60cmで、葉が細長く、葉の基部近くまで鋸歯があり、雄しべが短いものをホソバノキリンソウという。 花期:5-8月 分布:北・本・四・九 撮影:2014.7.28 滋賀県米原市 |
海岸に生えているキリンソウ。葉は山地のものより幅広い傾向がある。 2005.7.24 青森県東通村 裂開直前の葯は黄色または赤紫色。 2014.7.28 滋賀県米原市 初夏の海岸斜面の群落。 2003.7.21 青森県平内町 |
ホソバノキリンソウに戻る アキノキリンソウに戻る |
検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。 |