クサスギカズラ

クサスギカズラ(クサスギカズラ科)[草杉葛]

葉状枝がスギの葉に似ていて、茎がつる状に伸びることからこの名がある。別名テンモンドウ(天門冬)という。科の名称はキジカクシ科ともいう。

主に海岸の砂地や岩上に生える雌雄異株の多年草。神奈川県では三浦半島の海岸でよく見られる。根茎は短く、根は紡錘状に膨れる。
茎は下部が木質化し基部に卵形の鱗片があり、よく分枝して上部は草質のややつる状で他物にまとわりつき、長さ1-2mになる。
太い枝では葉は退化して長さ3-5mmの刺になる。細い枝には多くの稜があり、葉は膜質の広卵形で小さい。葉腋に1-3個の先が鋭くとがった葉状枝を束生し、長さ0.7-4cm、幅1-1.5mmの線形で3稜があり、ゆるく湾曲する。
葉腋にオリヅルランに似た直径6mmほどの黄緑白色の花が1-3個ずつつく。花被片は6個、長さ3-4mmで平開する。花柄は長さ2-5mm、中ほどに関節がある。雄花は6個の雄しべがあり、花被片より短く、葯は卵状楕円形で花糸より短い。雌花は子房は上位で3室、3柱頭がある。
果実は直径約7mmの球形の液果で汚白色に熟す。
紡錘状に膨れた根を漢方で天門冬といって鎮咳、去痰などに利用する。

茎が高さ15-20cmで直立し、花がつかないものをタチテンモンドウといい、花壇の縁などに植栽される。同属のキジカクシは主茎は直立し、花柄の上部に関節があり、花は鐘形で花被片は平開しない。果実は赤く熟す。
花期:5-6月
分布:本(関東地方南部以西)・四・九・沖
撮影:2017.5.16 神奈川県横須賀市
クサスギカズラの葉状枝
葉は退化し、線形の葉状枝が発達する。 2017.5.16 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの茎
太い枝は木化し、葉は退化して鋭い刺となる。 2016.6.1 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの花
葉腋に黄緑白色の小さな花をつける。花被片は平開する。 2017.5.16 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの雄花
雄花には6個の雄しべがある。 2017.5.16 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの雌花
雌花は雄しべが退化して小さく、黄緑色の子房が目立つ。柱頭は3個。 2017.5.16 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの茎と花柄
茎に多くの稜があり、花柄の中ほどに関節がある。 2017.5.16 神奈川県横須賀市

クサスギカズラの果実
若い果実は緑色。後に汚白色に熟す。 2019.7.30 神奈川県横須賀市

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