スギ(ヒノキ科)[杉] |
名の由来は、幹が直立することから直木(すき)が変化したものという。異説として上に伸び進むので進木(すすき)の意とするものなど諸説ある。古名をマキという。かつてはスギ科であったが、APGではヒノキ科とされる。 裸子植物で日本特産の常緑高木。日本では最も大きく長寿で高さ30-40m、直径は2mになる。大きなものは高さ50m、幹周15mを超えるものがあり、高さは秋田県能代市にあるものが約59mで最も高く、幹周では新潟県阿賀町のものが約19mで一番太い。上の写真は能代市(旧二ツ井町)にある仁鮒水沢のスギ植物群落保護林内で撮影したもので、ここにはこのような巨木が約2800本も林立している。自然分布北限は青森県。 主に太平洋側に多く、山地の沢沿いや岩上、湿原周辺などに自生する。林業上の最重要樹種として古くから最も多く植林されていて、日本の植林樹の4割はスギだという。自生なのか植林なのかよく分からないものも多い。神社や寺の境内にもよく植林されており、植林の多さから、花粉症の最大の原因植物となっているのは周知のとおり。 樹冠は3角状円錐形で老木になると先が丸くなり、楕円形となる。樹皮は赤褐色~暗赤褐色で厚く、長く縦に裂け、薄片となって剥がれ落ちる。小枝は無毛で若枝は上向きに出て、後にやや垂れる。 葉はらせん状に互生し、小型の鎌状に少し湾曲した長さ0.5-2cmの針形で茎に沿下して茎を包む。断面は菱形。葉は無毛で4面に白色の気孔帯がある。冬に日当たりのよい葉が赤褐色に色を変えることがあるが、春には緑色に戻る。 花は単性で雌雄同株。雄花は前年枝の先に多数つき、淡黄色で長さ5-8mmの楕円形。鱗片状の雄しべが多数あり、基部に葯室がある。花粉は微小で風に乗って遠くに運ばれる。雌花は前年枝の先に1個ずつ下向きにつき、緑色で直径2-3cmの球状。鱗片がらせん状につき、基部に胚珠がある。 果実は長さ2-2.5cmの卵状球形の球果で10-11月頃成熟すると裂開し、褐色になる。20-30個の木質の種鱗があり、それぞれの種鱗に2-5個の種子がつく。種子は長さ5-7mmの長楕円形で黒褐色、縁に狭い翼がある。 材が軽く木目が美しいことから建築材として利用されるほか、庭木や街路樹、盆栽、土木、器具、日本酒の酒樽、舟材、楽器、彫刻、経木など幅広く用いられる。今では鉄筋入りのコンクリートになったが、電柱としても利用された。樹皮は屋根葺きに、古い葉はタブノキの葉や樹皮とともに搗いて粉末にして固め、線香をつくる。造り酒屋では、枝葉を束ねて刈り込んで球状にしたものを軒先につるし、新酒ができた合図とする。 林業的には太平洋側に自生するオモテスギ、日本海側の多雪地に自生する変種アシウスギ(ウラスギ)に分けられる。オモテスギは下枝が枯れ上がるもので、アシウスギは葉の開く角度が狭く、下枝が枯れ上がらず、雪に押されて垂れて地についたところから新株ができる。京都の北山杉はこのアシウスギから選抜育成された品種。そのほか、産地ごとに秋田県の秋田杉、富山県の立山杉、奈良県の吉野杉、宮崎県の飫肥杉などブランドがある。 花期:2-4月 分布:本・四・九(屋久島まで) 撮影:2005.8.28 秋田県二ツ井町 |
雄花。 2018.2.27 横浜市栄区 前年の球果。 2018.2.27 横浜市栄区 葉はらせん状に互生し、小型の鎌状に少し湾曲した針形。 2021.2.8 横浜市金沢区 樹皮は厚く、長く縦に裂ける。 2021.2.8 横浜市金沢区 大日坊の皇壇杉。 2013.9.22 山形県鶴岡市 |
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