ミクリ

ミクリ(ガマ科)[実栗・水栗]

集合果をクリのいがに見立ててこの名がある。茎でむしろなどを編んだほか、民間薬として根茎を増血に用いることがあった。ミクリ属はAPGⅡまでは1属でミクリ科であったが、APGⅣではガマ属1属であったガマ科に統合された。属名Sparganiumは帯、バンドを意味するSparganonの縮小形Sparganionに由来し、線形の葉の形による。

低地の浅い池や沼の水中や湿地に生える多年草で、直立して高さ0.5-1.5mになる多年草。雌雄同株。泥中の根茎は横にはい、先端に新株をつくる。
葉は2列に互生し、幅0.8-2cmの線形で直立して茎より長くなる。裏面中脈に稜があり、先はとがらない。基部は葉鞘となって茎を抱く。
葉の間から伸びた茎の上部の葉腋からよく分枝する枝を出し、花が集まった球形の頭状花序をつくる。枝の下部には1-3個の雌性頭花を、上部には多数の雄性頭花をつける。雄性頭花、雌性頭花とも無柄。雄性頭花は直径約mmの球形。雄花の花被片は3-4個で長さ約2mmのさじ形、雄しべは3個で花被片より長く突き出て、花粉は風で運ばれる。雌性頭花は直径0.7-1cm、雌花の花被片は3個で長さ4-6mmの倒卵形。花柱の先の片側に長さ2-4mmの糸状の柱頭が1-2個つく。
雌性頭花は、熟すと緑色で直径1.5-2cmの球形の集合果となる。堅果は長さ6-9mm、幅2.5-5mmの広倒卵形で硬く、稜がある。先端に残存花柱がある。種子は水散布される。
ミクリを除く日本産のミクリ属植物は全て柱頭の長さは2mm以下と短い。ナガエミクリは花序は分枝せず、最下部の雌性頭花は葉腋から出た長さ3cmになる長い柄がある。堅果は紡錘形。ヒメミクリは最下部の雌性頭花は無柄。集合果の直径は約1.5cmで柱頭は長さ1.5mm。堅果は長さ4mmの倒卵形。ヤマトミクリは最下部の雌性頭花は柄があるが途中まで花序軸と合着している。柱頭は長さ1.5-2mm。堅果は長さ5-6mmの紡錘状楕円形。タマミクリも最下部の雌性頭花は柄があるが途中まで花序軸と合着している。柱頭は長さ0.5mm、堅果は長さ3mmの紡錘状楕円形。
花期:6-8月
分布:北・本・四・九
撮影:2024.5.15 神奈川県鎌倉市
ミクリ-2
枝の下に雌性花、上に雄性花をつける。 200.5.7.9 秋田県田沢湖町

ミクリの雌花
柱頭が3-6mmと長いことがほかのミクリ属植物との重要な区別点。ほかのミクリの仲間は長さ2mm以下。 2019.6.5 神奈川県箱根町

ミクリの果実
集合果は緑色で直径1.5-2cmの球形で、堅果は長さ6-9mmで残存花柱がある。 2004.8.8 宮城県涌谷町

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