ノゲイトウ

ノゲイトウ(ヒユ科)[野鶏頭]

名は野生のケイトウの意。栽培もされ、属名のセロシア(Celosia=ケイトウ属)の名で切り花にされる。Celosiaはギリシャ語のkeleos(=燃やした)に由来し、花が炎に似て赤く、乾燥した様子から。ケイトウはノゲイトウから作出されたものといわれ、花序が鶏の鶏冠(とさか)に似るためにその名がついた。

熱帯アメリカまたはインド原産の1年草で、「草木図説」に掲載されているので江戸時代には渡来していたと考えられ、関東地方~沖縄の畑や荒れ地など、肥えた土地で見られる。
茎は円柱形で縦筋があって無毛、単一に直立するか枝を分け、高さ0.3-1mになる。
葉は短い柄があって互生し、長さ4.5-15cm、幅0.6-4.5cmの披針形~卵状披針形で全縁、鋭頭~やや鈍頭で基部はくさび形。質は軟らかく、両面とも無毛。
枝先に長さ5-8cm、幅1.2-1.8cmの太い毛筆状の穂状花序を長い柄の先に出し、淡紅白色~白色の小さな花を密生して多数つけ、下から咲き上がる。花は無柄で両性。花被片は5個、乾膜質で光沢があり、長さ0.7-1cmの卵形で鋭頭、太い中脈がある。雄しべは5個で花糸の基部が互いに合着し、楕円形の子房を袋状に包む。雌しべの花柱は1個で柱頭は頭状。花の下に3個の小苞がつく。小苞は花被片の1/3-1/2長。
果実は残存した花被に包まれた直径3-5mmの卵球形の胞果で、熟すと横に裂けて上半分が落ち、種子を2-4個出す。種子は直径1-1.5mmのやや扁平な腎円形で、黒色で網目模様がある。

若葉は食用とされ、種子は青葙子(せいしょうし、せいそうし)といい、高血圧、かゆみ、目の充血、強壮などに用いる。
ヒユ属は似ているが、花は単性で胞果の種子は1個という違いがある。名前にノゲイトウが入るセンニチノゲイトウはセンニチコウ属で、葉は対生し、花序は頭状で頂生。ツルノゲイトウナガエツルノゲイトウはツルノゲイトウ属で葉は対生し、花序は頭状で腋生。
花期:6-11月
分布:帰化植物
撮影:2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市
ノゲイトウ-2
栄養豊富な畑などに見られる。 2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市

ノゲイトウ-3
穂状花序の下から咲き上がる。花の下に3個の小苞がつく。 2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市

ノゲイトウの花
花被片、雄しべは5個。花糸の基部は合着して袋状に子房を包む。 2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市

ノゲイトウの茎
茎は円柱形で縦筋があり、無毛。  2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市

ノゲイトウの葉
葉は全縁で無毛。 2022.9.30 神奈川県茅ヶ崎市

ツルノゲイトウに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。