ノヤマトンボ

ノヤマトンボ(ラン科)[野山蜻蛉]

名は、トンボソウに似ていてより低地に生えるという意味か。ノヤマトンボソウとも。トンボソウに似て葉が大きいことから、別名オオバノトンボソウという。

丘陵地のやや乾燥した林下に生える多年草で、高さ30-60cmになる。茎に翼状に発達した稜がある。根は数本が紡錘状に肥厚する。
葉は離れて互生し、下部の2-3個が大きく、上部の2-3個は小さな披針形の鱗片葉となる。葉身は長さ7-12cm、幅2.5-3.5cmの長楕円形で光沢はなく、基部は茎を抱く。裏面主脈の下半部は翼状となって茎の稜の翼に流れる。
花は黄緑色で茎の先に10-25個まばらな穂状につく。苞は広披針形で縁に乳頭状の細突起がある。背萼片は長さ4-5mmの広卵形、側萼片は狭長楕円形で背萼片より長く、後方に反り返る。側花弁は背萼片より僅かに短い半切卵形で、背萼片とともにかぶとをつくる。唇弁は長さ6-8mmの舌状広線形で後方に曲がる。距は長さ1.2-1.5cmで子房より長く、鈍頭で垂れ下がる。蕊柱は半筒形で平たい。葯室は上部で接するが下方で離れ、その外側の左右に仮雄しべがある。花粉塊は淡黄色で2個、円盤状の粘着体がつく。
果実は柱状紡錘形の蒴果。

ノヤマトンボとオオヤマサギソウとの雑種ではないかといわれているオオバナオオヤマサギソウは、側萼片は長さ8mm、距が長さ3-4cmと花が大きい。環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類(CR)。
花期:6-8月
分布:本・四・九
撮影:2019.7.5 川崎市多摩区
ノヤマトンボ-2
2019.6.27 川崎市多摩区

ノヤマトンボの花
唇弁は舌状で後方に反る。 2019.6.27 川崎市多摩区

ノヤマトンボの花-2
距は子房より長い。 2019.6.27 川崎市多摩区

ノヤマトンボの苞
苞の縁に乳頭状の細突起がある。 2019.6.27 川崎市多摩区

ノヤマトンボの茎
茎に翼状に発達した稜がある。 2019.6.27 川崎市多摩区

ノヤマトンボの葉
下部の葉の基部は茎を抱く。 2019.6.27 川崎市多摩区

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