シシウド

シシウド(セリ科)[猪独活]

名は、形がウコギ科のウドに似ているが硬くて食用にならず、せいぜいイノシシが食べるものと見てついたもの。またはウドに似て勇壮なことからとも。なお、「独活」は中国ではウドとは別の植物を指し、日本でウドにこの文字を当てたのは誤用で、それをそのままシシウドにも使っている。

丘陵~山地のやや湿った日当たりのよい斜面などに生え、高さ1-2mになる日本固有の大型の多年草で一度開花して結実すると枯れる一回繁殖型植物。夏の高原を飾る主要な花だが低地でも見られる。茎は中空で直立し、上部で枝を分け、茎や葉柄、葉身脈上、花柄に褐色の細毛を密生する。
葉は互生し、2-4回3出複葉、小葉は質が薄く長楕円形で鋸歯があり、頂裂片の基部は軸に流れる。葉柄は膨らんで袋状となる。
枝先に大きな複散形花序をつけ、10-60本の大散形花序を放射状に長く張り出し、その先に25-40本の小散形花序を球状に出し、直径4mmほどの白黄緑色の花を多数つける。花弁は5個で内側に曲がる。花序の中心も外側も花の形は変わらない。萼歯片はない。総苞片と小総苞片もない。
果実は2分果で、分果は長さ6-9mm、幅5-7mmの扁平な広楕円形で紫色、両側に広い翼がある。油管は各背溝下に1-4個、合生面に4-6個ある。

根を乾燥させたものを独活(どっかつ)といい、煎汁を発汗、解熱薬として用いる。またリウマチや神経痛に浴湯料として用いる。
ミヤマシシウドは亜高山帯に生え、全体に毛が少なく、葉も小葉も広くやや光沢がある。エゾノシシウドは海岸に生え、葉に光沢がある。宮城県南部以南では大型のセリ科植物としてはハナウドも生えるが、花期が5-6月なので間違うことはない。
花期:8-10月
分布:本(宮城県以南)・四・九
撮影:2017.8.3 横浜市緑区
シシウド-2
若い花序も膨らんだ鞘に包まれる。 2014.7.28 滋賀県米原市

シシウド-3
雄しべは長く、花弁は内曲する。萼歯片、総苞片、小総苞片はない。 2022.7.27 東京都八王子市

シシウドの葉
葉は2-4回3出複葉。 2022.4.19 神奈川県藤沢市

シシウドの葉-2
葉の縁に細かく整った鋸歯がある。 2022.7.27 東京都八王子市

シシウドの葉柄
葉柄の基部は舟形に膨らんで茎を包む。 2017.8.3 横浜市緑区

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