ヤブヘビイチゴ(バラ科)[藪蛇苺] |
名は、ヘビイチゴに似ていて日陰のやぶに生えることからついたもの。以前はヘビイチゴ属とされていたが、分子系統解析の結果、現在は属全体がキジムシロ属に移されている。 どこでどう間違ったのか、分布域を関東地方以西としている文献も見受けられるが、北海道の西部と南部に生えているし、青森県でもごく普通にある。 名のとおり、やぶや林縁などに多い多年草で、茎は地をはい、匐枝を出して広がる。ヘビイチゴより全体に大きい。 葉は長い柄があり、濃緑色、3出複葉で互生する。頂小葉は長さ3-6cmの菱状長楕円形で鋭頭、ときに側小葉がさらに2浅裂して鳥足状の5小葉に見えるものや、それが全裂してしっかり5小葉になっているものもある。縁は単鋸歯で、ヘビイチゴのような重鋸歯状になることはほとんどない。 花は腋生のように見えるが、頂生して葉と向かい合って1花がつく。花は黄色の5弁花で、ヘビイチゴより大きく、直径1.5-2.5cm。萼片は3角状で5個あり、葉状の副萼片5個が下に重なって上から見るとよく目立つ。発達した副萼片はあたかもエリマキトカゲの襟巻きのようにも見える。花弁は見た目が細長く、狭倒卵形。 花後に花床が肥大して、直径1.5-2.5cmの赤くてつやがある丸い偽果(イチゴ状果)ができる。果床は赤色でつやがある。果実(イチゴ状果の表面の粒々の部分)は濃赤色の痩果で、しわがなく光沢がある。果実は無毒だが、海綿質で水気も甘みもなく、食べてもまずい。 姿がそっくりなヘビイチゴは、花が直径1.5cmほどとやや小型で、果実も直径1cmほどと小さく、花床や痩果に光沢がない。また、頂小葉は広卵形で鈍頭、縁はしばしば重鋸歯状となる。 花期:3-6月 分布:北(西部・南部)本・四・九・沖 撮影:2003.5.11 青森県五戸町 |
花弁は細長く、狭倒卵形。 2019.5.16 川崎市麻生区 花を裏側から見たところ。3角形のとがった萼片と互生して葉状に発達した副萼片がある。 2020.6.4 横浜市栄区 頂小葉は菱状長楕円形で、縁が重鋸歯状になることはほとんどない。 2015.4.24 横浜市戸塚区 葉は3出複葉だが、側小葉がさらに2浅裂して鳥足状の5小葉に見えるものや基部まで裂けて5小葉となっているものもある。 2020.6.4 横浜市栄区 イチゴ状果。果床もつぶつぶの痩果もつやがあり、赤い。 2008.6.28 青森県八戸市 林縁の小道に沿って群れていた。 2020.6.4 横浜市栄区 |
ヘビイチゴに戻る ヒメヘビイチゴに戻る ミツバツチグリに戻る |
検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。 |