ヘビイチゴ(バラ科)[蛇苺] |
名の由来は、ヘビが出そうなところに生えるからとも、まずいのでヘビに食わせる程度だからともいわれているが、ヤブヘビイチゴの漢名を「蛇苺」といい、それをそのまま取り入れたものだろう。なお、漢名の由来は後説だという。 以前はヘビイチゴ属に分類されていたが、分子系統解析により、現在は属全体がキジムシロ属に合一されている。 田のあぜや道端など、日当りのよい湿った草地に生える多年草で、匐枝を出して節から出根して栄養繁殖する。 葉は明るい緑色の3出複葉で互生する。頂小葉は広卵形で先は円く、縁は重鋸歯となることが多い。側小葉はときに浅く2裂し、5小葉に見えるものがある。葉柄には白毛が生える。 花は一見腋生に見えるが、頂生して葉と向かい合って1花がつく。花は直径1.2-1.5cmの黄色の5弁花。萼片は3角状で5個あり、下垂する葉状の副萼片より小さい。副萼片は5個あり、先が3裂し長毛が生える。副萼片は垂れ下がっているので上からはほとんど見えない。花弁は倒心臓形。 花後に花床が肥大して直径0.8-1.2cmの丸い偽果(イチゴ状果)ができる。果床は淡紅色で光沢がない。果実(偽果の表面の粒々の部分)は紅色の痩果で、しわがあってこれも光沢はない。偽果は無毒だが、海綿質で水気も甘みもなく、食べてもまずい。 よく似たヤブヘビイチゴは、葉は濃緑色で小葉が大きく、ヘビイチゴに比べて細長く、単鋸歯が多い。また、花は直径2cmほどあり、上から大きな副萼片がよく見える。偽果は直径2cmほどで、果床は赤く強い光沢があり、痩果にはしわがなく光沢がある。 よく混生しているオヘビイチゴは5小葉であることで区別できる。ヒメヘビイチゴは、山地の日陰に生え、花期は夏で花の直径は7mmほどと小さく、実は赤熟しない。 花期:3-6月 分布:日本全土 撮影:2016.4.19 横浜市中区 |
花弁は幅が広い倒心臓形。 2018.4.9 神奈川県藤沢市 頂小葉は広卵形で先は円く、縁はしばしば重鋸歯状となる。ヤブヘビイチゴは菱形状長楕円形で鋭頭。 2005.4.30 埼玉県吉見町 果床が白っぽくてつやがなく、つぶつぶの痩果にしわがあることでヤブヘビイチゴと明確に見分けられる。 2018.5.18 神奈川県三浦市 |
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