ヤマハゼ（ウルシ科）｜素人植物図鑑

ヤマハゼ（ウルシ科）［山櫨・山黄櫨］

元来、本種やヤマウルシをハゼとよんでいたが、江戸時代に中国から現在のハゼノキを移入してそれが広まったので、区別するためにヤマハゼとよばれるようになった。実際、ハゼノキよりやや山側に多い。別名ハニシといい、埴輪を作る粘土の黄赤色が秋の紅葉に似ていることから埴輪を作る者の意が転じたもの。

暖地の丘陵地～山地の日当たりのよい林縁や林内に生える雌雄異株の落葉小高木～高木。高さ3-6m、大きなものは10mになる。樹皮は暗褐色で赤褐色の皮目が目立つ。老木では縦長に裂けて剥がれ落ちる。若枝は緑褐色で褐色の短毛が密生する。
葉は互生し、長さ25-40cmで奇数羽状複葉。葉軸は暗赤褐色で上面に褐色の軟毛が密生し、基部は膨れる。小葉は4-8対で長さ4-13cm、幅2-5cmの卵状長楕円形～広披針形で全縁、基部はくさび形～円形で先は長くとがる。両面に褐色の短毛を散生し、裏面は緑白色で細点がある。側小葉は基部が左右不同で最下のものは少し小さい脈上に硬い開出毛がある。側脈が目立ち、長い側脈と短い側脈が交互に出る傾向がある。秋には美しく紅葉する。
枝先の葉腋やそのやや上部に長さ10-20cmの円錐花序を出し、黄緑色の小さな花を多数つける。花序に褐色の湾曲する開出毛が密生する。雄花序のほうが雌花序より花数は多い。苞と小苞は披針形で小さく、落ちやすい。萼片は5裂し、花弁は長さ2mmの楕円形で5個。雄花の花弁は反り返り、雄しべは花弁と同長で花外に突き出る。雌しべは退化して小さい。雌花の子房は無毛、柱頭は3裂する。雄しべは小さい。
果序は下垂し、果実は平滑、無毛で光沢のある直径7-9mmのやや扁平な球形の核果。10-11月に黄褐色に熟す。核は1個で淡黄褐色。

材は器具材や寄せ木細工に利用する。心材は鮮黄色で染料になる。
ヤマウルシに似ているが、ヤマウルシは果実に刺毛がある。ハゼノキは枝葉や果実はほぼ無毛で小葉がヤマハゼより細長く、広披針形～狭長楕円形。