ヤマウルシ(ウルシ科)[山漆] |
名は栽培されるウルシと違って山に生えるウルシの意。 丘陵地~山地の明るい林内に普通に生える雌雄異株の落葉低木~小高木で、直径10cm、高さ3-8mになるが、3-4m程度のものが多い。枝や葉に触るとかぶれ、近寄っただけでかぶれる人もいる。樹皮は灰白色で縦に褐色の長い裂け目があり、若枝は赤褐色を帯び、密な短軟毛が生える。冬芽は裸芽で褐色の軟毛が多い。 葉は枝の上部に集まって互生し、長さ25-50cmの奇数羽状複葉で小葉は4-8対。葉軸は赤褐色で軟毛が密生する。小葉柄は3-4mm。小葉は長さ4-15cm、幅3-6cmの卵形~卵状楕円形で、軸の基部につく小葉は小さく円形に近くなる。小葉の基部は広いくさび形~斜切形で先は急にとがる。表面に毛を散生し、裏面脈上には軟毛が密生する。成木の葉は全縁または1-2個の歯牙があるが、幼木の葉は鋸歯が大きく目立つ。日本の樹木の中ではツタウルシとともに最も早く紅葉し、早いものでは8月中に鮮やかに赤くなり始める。 枝先の葉腋から長さ15-30cmの円錐花序を下垂し、黄緑色の小さな花を多数つける。花序の軸には褐色の粗い短毛が密生する。苞と小苞は長さ1mmの披針形で膜質。花弁5個は長さ2mm、狭長楕円形で開くと反り返る。雄花は花柄1.5-2mm、萼片5個は長さ8mmの楕円形。雄しべ5個は花外に突き出る。雌しべは小さく退化。雌花は小さい雄しべと雌しべが1個で花柱は花外に突き出て柱頭は3裂する。 果実は9-11月に熟し、淡黄色で直径5-6mmの扁球形の核果。外果皮は剛毛に被われ、後に外果皮が剥がれ、白い蠟質で黒い筋のある中果皮が裸出する。核は黄褐色、扁球形。 ウルシと違って漆液が少ないので、ウルシのようには利用できず、材も役に立たない。 葉柄や葉軸の緑色のものをアオヤマウルシといい、まれに生育する。 漆液を採取するウルシは中国・ヒマラヤ原産で、奈良時代以前に朝鮮半島から伝来した。樹高は5-15m、直径30cmになり、小葉は4-5対と少なく、ヤマウルシより葉が大きく表面は無毛、核果は直径7-8mmあり、無毛で滑らか。 関東地方以西に分布するヤマハゼは樹皮は褐色、幼木でも葉の縁は全縁、核果は直径0.8-1cmで無毛。ハゼノキは関東地方南部以西に分布し、小葉は細く両面無毛で光沢があり、先が細長くとがる。核果は直径0.8-1cmで無毛。ヌルデは全国に分布していて、葉軸に翼があるので簡単に見分けられる。 花期:5-6月 分布:北・本・四・九 撮影:1997.9.21 青森市 |
2004.5.30 岩手県北上市 |
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