マンサク(マンサク科)[先咲] |
名は早春に一番初めに「まず咲く」ことからとも、また木にたくさん花をつけることから「満作」とついたともいわれるが、青森県などでは早春に咲く花を全てマンサクとよんでいた(奥羽地方ではマンサクのことを木まんさく、フクジュソウのことを土まんさくとよんできた。)ことからすると、「満作」説は採用しがたい。春早く、花の少ない時期に変わった花を付けるので、庭木や公園樹として植栽され、花材としても利用される。枝がよくたわんで折れにくいので、かんじき作りや薪の結束に利用された。葉はタンニンを含むので、収斂、止血、止瀉作用があり、日干ししてから利用する。 山地の乾いた尾根筋や斜面に生える落葉低木~小高木。よく叢生し、高さ2-6mになる。樹皮は灰褐色で滑らか、楕円形や線状の皮目がある。 花が全て終わってから葉が展開する。葉は互生し、長さ5-10cm、幅3-7cmの菱状円形~やや広卵形で、縁の上半部に波状の鋸歯があり、基部は左右非相称、先は3角状に短くとがるか鈍頭。質は厚く表面は緑色でややしわがあり、裏面は淡緑色。若い葉は星状毛が散生するが後に裏面脈腋付近を除き無毛となる。側脈は6-8対。葉柄は長さ0.5-1.5cm。秋に美しく黄葉する。 前年枝の葉腋から短い花序を出し、葉が展開する前に黄色の花を数個つける。萼片と花弁は4個、萼片は長さ約3mmの楕円形で外面に褐色の星状毛が密生して反り返り、内面は暗赤紫色まれに緑色。花弁は長さ約1-1.5cmのねじれた線形で黄色。雄しべは4個で短く、内側に雄しべより僅かに短い線形の仮雄しべが4個ある。雌しべは1個で花柱は深く2裂する。 果実は直径約1cmの卵状球形の蒴果で、萼片が残り、表面に淡褐色の星状毛が密生する。熟すと2裂して光沢のある黒い種子を2個はじき飛ばす。 葉が長さ7-17cm、幅4-10cmと大きなものはオオバマンサクといい、主に東北地方~関東地方の太平洋側に分布するが、マンサクと区別しない見解もある。マルバマンサクは北海道~鳥取県の日本海側に分布し、葉が倒卵円形で葉先は円い。中国地方、四国には葉の両面に星状毛が多く、萼片が黄色いアテツマンサクが分布する。 中国原産のシナマンサクは、葉が大きく先が鋭くとがり、表面と葉柄に軟毛があり、裏面は灰色の綿毛が密生し灰白色。しばしば花期に前年の葉が落ちずに残る。花弁は長さ1.5-2.5cmで基部が紅色を帯び、香りが強い。 花期:3-4月 分布:本(関東地方西部以西)・四・九 撮影:2023.3.9 東京都八王子市 |
花は葉が出る前に咲く。花弁は長さ1-1.5cm。 2023.3.9 東京都八王子市 萼は暗赤紫色。4個の雄しべのほか、内側に4個の仮雄しべがある。 2023.3.9 東京都八王子市 鋸歯は上半部にあり波状。基部は非相称。 2023.4.6 東京都八王子市 樹皮は灰色で滑らか。 2023.4.6 東京都八王子市 |
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