オトギリソウ

オトギリソウ(オトギリソウ科)[弟切草]

弟切草の名前の由来は、昔、鷹匠の兄弟がいて、鷹が傷ついたときにつけるオトギリソウから作る秘伝の妙薬の秘密を弟が漏らしてしまったことに兄が激怒し、弟を斬り殺してしまったという伝説から来ているという。葉や花の黒点はそのときの血しぶきの跡が残っているのだとか。
オトギリソウ科の代表だが、この仲間は細かな変異が多く、葉を透かしてみて黒点の有無、場所、明点の有無で判断しなければならないので区別は難しい。

日当たりのよい山野の草地に普通に生え、上部で斜めに枝を分け、高さ20-60cmになる無毛の多年草。根茎は木質で茎は1本立ちまたは2-3本が叢生して直立する。
葉は対生し、長さ2-6cm、幅0.7-3cmの広披針形で全縁、基部は幅が広く、円形~心形で半ば茎を抱き先に向かって次第に細くなり先端は円い。密に黒点があり、縁にも整然と黒点が並ぶ。
花は茎頂と枝先に2出集散状につく。朝開花して夕方にしぼむ一日花で直径1.5-2.5cm。萼片は長楕円形~披針形で先は円く、黒点と黒線が入り、縁には黒点が多い。花弁は黄色で5個あり長さ0.9-1cmの倒卵形、縁に黒点、裏面に黒線が入る。雄しべは多数あり、基部で合着し3束に分かれる。花柱は3個で長さ3.5-4mm、子房より僅かに長い。
果実は長さ5-8mmの長楕円状卵形の蒴果で縦の明線が入る。

茎や葉は多量のタンニンを含み、絞り汁や油に浸したものを民間療法として止血や神経痛などに古くから利用した。漢方では全草を干したものを小連翹(しょうれんぎょう)とよび、煎じてうがい薬、切り傷などに用いる。生葉はヒペリシンという赤い色素を含み、肌につくと皮膚炎を起こすことがある。
花期:7-9月
分布:日本全土
撮影:2017.7.24 横浜市戸塚区
オトギリソウの花
萼や花弁に黒線・黒点がある。 2018.7.10 神奈川県横須賀市

オトギリソウの黒点
葉にも黒点が多数あり、縁にも整然と黒点が並ぶ。 2004.7.3 青森県七戸町

イワオトギリに戻る サワオトギリに戻る シナノオトギリに戻る コケオトギリに戻る ミズオトギリに戻る トモエソウに戻る


検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。