シロバナゲンノショウコ(フウロソウ科)[白花現の証拠] |
山野の草むらや道端に普通に見られる薬草として有名な多年草。通常、白花も紅花も区別せずにゲンノショウコとよばれている。実がはじけると裂片が種子を1個ずつ巻き上げ、その形が御神輿の屋根に似ているので別名ミコシグサという。 東日本では白い花のシロバナゲンノショウコが、西日本では紅紫色のベニバナゲンノショウコが多い。なお、シロバナゲンノショウコの中には、花弁に紫条の入らない純白のものもまれに見られる。 根以外の部分が下痢止めや腹痛の民間薬として利用され、飲むとたちどころに効くということからこの名がついた。乾燥した茎や葉を煎じて飲むのが一般的で、現在でも実際に製薬原料として使われている由緒正しい薬草。下痢にも便秘にも効くという一見相反した薬効をもつが、副作用もなく安全な薬草なのだという。 茎は高さ30-50cmになり、よく分枝して基部は倒伏し、葉柄とともに開出するかまたは下向きの屈毛が多く、上部では腺毛が混じる。 葉は対生し、幅1-8cm、下部の葉は5中~深裂、上部の葉は3深裂し、裂片は長楕円形~卵形で2-6個の大きな鋸歯がある。托葉は膜質で離生し、長さ3-5mmの3角形。冬にも少数の葉が越冬し、越冬葉や春の若葉は赤い斑紋がある。 枝先や葉腋から花柄を出し、白色の花を2個ずつつける。花は直径1.2-1.5cm、花柄や小花柄、萼には開出する粗い毛と腺毛が密生する。花弁と萼片は5個で、花弁は萼片より少し長く、萼片の先は芒状。雄しべは10個、長さ約5mm。雌しべは1個で花柱は5分岐する。 果実は直立した蒴果。花柱分岐を含めて長さ約2cmで、短毛と腺毛を密生する。花柱分岐は長さ約2mm。成熟すると、嘴の上端を中軸につけたまま果体から外反して巻き上がって5裂して、卵形で黒色の種子を散布する。胚珠は各室に2個あるが、種子は1個しかできない。 山地に生えるミツバフウロは極めてよく似ているが、ゲンノショウコが茎や花柄に開出毛と腺毛があること、ミツバフウロは屈毛と伏毛があることで区別できる。 花期:7-10月 分布:北・本・四・九 撮影:2015.9.26 横浜市戸塚区 |
ふつう2個ずつ花がつく。 2006.8.19 岩手県久慈市 開花直後は雄性期で雌しべは成熟していない。 2015.9.26 横浜市戸塚区 雌性期。雄しべが枯れて柱頭が開出している。 2020.10.13 横浜市栄区 下部の葉は5中~深裂、上部の葉は3深裂する。 2020.10.13 横浜市栄区 裂開前の若い果実。 2010.8.28 岩手県八幡平市 成熟した果実。 2018.10.24 横浜市栄区 御神輿状態の裂開後の果実。 2004.9.5 岩手県松尾村 |
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