ツユクサ(ツユクサ科)[露草] |
名は、露を帯びた草の意で、朝露を受けて咲き出すからという。古名ツキクサ(着草、月草)、別名ボウシバナ(帽子花)という。古名は花の汁をこすりつけて布を染めたことにより、別名は苞葉の形を帽子に見立てたもの。澄んだ青い花は夏の暑い盛りにはとても涼しげでほっとする思いがする。 道端や草地などいたるところに生える1年草で、茎の下部は地をはってよく分枝し、節から根を出して殖え、先は立ち上がり、高さ20-50cmになる。 葉は互生し、長さ5-8cm、幅1-2.5cmの卵状披針形、無毛で先はとがり、基部は膜質の鞘になって茎を抱き、上縁に長毛がある。 上部の葉腋から長さ2-3cmの花軸が出て、その先に内折する総苞がある。総苞は長さ2-3cmの半円形。先は円いか急にとがり、無毛またはまばらに毛がある。 総苞の内側に数個の花が集散花序につく。花は1個ずつ総苞の外に出て早朝に開き、昼過ぎにはしぼんでしまう一日花。内花被片(花弁)は3個。下方の1個は白くて小さく、長さ4-5mmの披針形で目立たない。上側方の2個は青色で大きく、長さ1-1.3cmの卵円形で基部に爪がある。外花被片(萼片)は3個で膜質、白色で長さ3-4mm、上方の1個は披針形、側方の2個は卵形。雌しべは1個、子房は2室。雄しべは6個で、うち2個が花柱とともに突出する。葯が黄色で目立つ残りの4個は仮雄しべで花粉はつくらないといわれていたが、ただの飾りではなく花粉を作るし、そのうちの1個は生殖機能を備えていることが明らかになっている。秋になると閉鎖花で自家受粉することがあることも知られている。 果実は長楕円形の蒴果で、初め白色、後に褐色となり2片に割れて4個の種子がある。種子は黒褐色、長さ7-8mmの半楕円形で表面に凹凸がある。 全草を乾燥させたものを鴨跖草(おうせきそう)といい、解熱、下痢止め、浴湯料などに用いる。 古くは布や和紙を染めるために使われていたが、藍染めの技法が入ると水に溶けやすいツユクサ染めは衰退した。一方、布に描く絵の下書き用としては変種のオオボウシバナが栽培、利用されている。「青花紙」は、早朝に採集した花の絞り汁を和紙に染みこませて乾燥したもので、今でも滋賀県草津市で作られている。 純白の花をつけるものをシロバナツユクサといい、淡青色~淡紫色の花をつけるものはウスイロツユクサという。また、総苞に長い毛が密生するものをケツユクサ、2個の内花被片(花弁)がウサギの耳状に細長いものをウサギツユクサという。全体に大型の栽培変種をオオボウシバナといい、友禅染や絞染の下絵に使う青花紙を作るために現在も栽培されている。 よく似て、総苞が鎌形に曲がり、花が小さく直径1cmに満たないものをシマツユクサという。本来の分布は国内では九州南部~沖縄だが、近年は関東地方以西に国内帰化している。マルバツユクサは葉が卵形で明らかな柄があり、先がとがらないもので、葉縁は細かく波打つ。 花期:6-10月 分布:日本全土 撮影:2013.8.11 岩手県二戸市 |
2個の完全雄しべは雌しべとともに突き出る。黄色い葯が目立つ4個の雄しべのうちの1個は生殖能力のある花粉をつくることが分かっている。 2004.9.5 岩手県松尾村 内折する総苞は半円形で鎌形にならない。総苞に長白毛が生えるものをケツユクサというが、この程度のものはどうか。 2018.9.28 神奈川県三浦市 葉は卵状披針形で先はとがり、基部は膜質の鞘になって茎を抱く。 2022.6.10 横浜市保土ケ谷区 裏面は白っぽい。 2022.6.10 横浜市保土ケ谷区 |
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