モチノキ

モチノキ(モチノキ科)[黐の木]

樹皮からとりもちを作ったのでこの名がある。モチノキで作ったものが最良で「本もち」といわれ、イヌツゲなど他の樹木から作ったものを「青もち」といって区別した。材が堅くて緻密なので、櫛や印材、寄木細工に利用される。

暖地の沿海の山地の常緑樹林内に生える雌雄異株の常緑高木で、高さ5-20mになる。防風、防潮樹として、また「東のモチ、西のクロガネモチ」といわれ、庭木や公園樹としても人気が高い。
樹皮は暗灰褐色で滑らか。本年枝は緑色で無毛、鈍い稜がある。
葉は厚い革質で互生し、長さ4-7cm、幅2-3cmの楕円形で全縁、表面は濃緑色でやや光沢があり側脈はほとんど見えない。裏面は淡黄緑色。基部はくさび形で先は少し突き出て先端は鈍い。両面とも無毛。葉柄は長さ0.5-1.5cmでときに紫色を帯びる。幼木は葉の上半分に少数の鋭鋸歯が出る。
前年枝の葉腋に出た短枝に、黄緑色で直径5-8mmの小さな花をつける。花弁は長さ3mmの楕円形で4個。萼片は広3角形で4個。上の画像は雄花。雄花は葉腋の散形花序に2-15個が固まってつき、雄しべ4個と退化した雌しべがある。雌花は1-4個ずつつき、大きな円筒形の子房と退化した小さな雄しべが4個ある。柱頭は4浅裂する。
果実は1個の果柄に1個ずつつき、直径1cmの球形の液果状の核果で11-12月に赤く熟し、野鳥が好んで食べる。果皮に光沢はなく、先に柱頭痕が4個残る。中に4個の核を含む。核は長さ7mmの3角状楕円形。

果実が黄色の品種はキミノモチといい。果実が楕円形のものはイヌモチという。
よく似たクロガネモチは西日本に多く、花は淡紫色を帯び、葉は一回り大きくて幅も広く、果実は直径5-6mmと小さくて光沢があり、モチノキより密集してつく。
花期:4-5月
分布:本(山形・宮城県以南)・四・九・沖
撮影:2015.4.16 横浜市中区
モチノキの蕾
雄花の花芽。 2015.3.4 横浜市中区

モチノキの雄花
雄花。4個の雄しべと退化した雌しべがある。 2019.4.2 横浜市中区

モチノキの雌花
雌花。雌しべと退化した4個の雄しべがある。 2019.3.28 神奈川県横須賀市

モチノキの果実
果実は直径約1cmで赤く熟す。 2018.10.24 横浜市南区

モチノキの果実-2
果実の先に柱頭痕が残る。光沢はない。 2018.10.24 横浜市南区

モチノキの葉
葉は厚い革質で楕円形。先は少し突き出て先端は鈍い。 2015.4.16 横浜市中区

モチノキの樹皮
樹皮は暗灰褐色で平滑。 2018.4.3 神奈川県茅ヶ崎市

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