フキ

フキ(キク科)[蕗]

名は、用便のあと葉で尻を拭いたことからついたという説があるが、定説はない。東北地方北部ではフキ(アキタブキ)のことをバッケ、バッカイなどとよぶが、これはアイヌ語で「子供を背負う」という意味で、雪の間から花を背負うようにして顔を出している様をたとえたものといわれる(更科源蔵 コタン生物記Ⅰ 1942年刊)。

湿り気の多い山野に生える雌雄異株の多年草で、高さ20-50cmになる。根茎を横に出して葉や茎を立てながら広がる。
早春に大型の苞に包まれた花茎(トウ:薹)を出し、散房状に黄白色の頭花をつける。頭花は雄株は黄色っぽく、雌株は白っぽい。
雄株では花茎は高さ10-25cm、直径4-7mmで密に褐色の毛があり、苞は淡緑色で多数つき、長さ3-8cmの長楕円形~卵状長楕円形で鈍頭、平行脈がある。花序は密な散房状で、頭花は直径0.7-1cm、全て両性の筒状花からなるが、機能的には雄性で不稔。総苞は長さ6mmの筒状鐘形で、基部に披針形の苞が2-4個つき、総苞片は2列で狭長楕円形。花柱は長さ7-8mmで棍棒状、葯の基部は鈍形。花後、まもなく枯れる。
雌株では花茎に初め頭花を密な散房状につけるが、後に伸びて高さ40-70cmに伸び円錐花序となる。頭花は花時に直径0.7-1cm、縁に多数の雌性花、内に少数の両性花がある。総苞は花時に長さ5mmで花後9mmになる。花柱は長さ6-7mmの糸状。
花が終わった頃に根茎の先から長い葉柄をもった腎円形の葉を叢生する。葉身は幅15-30cm、基部は深い心形で縁に細かい歯がある。表面は初め縮れた短毛があり、裏面はクモ毛があるが、後に無毛となる。葉柄は中空で長さ60cm、太さ1cmに達する。
痩果は長さ3.5mm、幅0.5mmの円柱形で無毛。冠毛は長さ1.2cmで白色。

フキノトウは、香高く特有の苦みがあるので、山菜として人気が高く、そのまま薄く衣をつけて天ぷらにするとおいしい。また切り刻んで醤油や味噌で味を調えると、ご飯の友として最高のものになる。またややトウが立った茎は少し苦みが少なくなって、これはこれで利用できる。
民間薬としても利用され、せき止め、去痰などに利用する。
北海道と東北地方北部(平地では奥州市以北)には、亜種のアキタブキが生える。
花期:3-5月
分布:本(岩手県以南)・四・九・沖
撮影:2005.3.20 岩手県江刺市
フキ-2
トウの立ったフキ。 2023.3.4 横浜市南区

フキの両性花
両性花は機能的には雄花。花後まもなく枯れる。 2020.3.18 神奈川県伊勢原市

フキの雌花
雌花は長い花柱が目立つ。 2020.3.18 神奈川県伊勢原市

フキの葉
葉柄の青いものは食用として優秀。 2018.5.18 神奈川県三浦市

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