カワラケツメイ(マメ科)[河原決明] |
名は姿も薬効も南アメリカ原産の決明(エビスグサの漢名)に似て、河原の砂地によく生えることからついたもの。 日当たりのよい河原や土手、道端などの草地に群生する1年草まれに多年草。茎はしばしば紫褐色を帯び、やや硬く短毛があって中実、ときに根元から枝を分け、高さ30-60cmになる。 葉は互生し、長さ4-7cmの披針形で1回偶数羽状複葉。葉柄の上端上面に無柄でいぼ状の蜜腺が1個ある。托葉は長さ5-7mmの線状披針形で1対あり宿存する。小葉は15-35対と多数で密に並び、中央部のもので長さ0.8-1.2cm、幅2-3mmの左右非相称な狭長楕円形で先は微突端。葉は夜間、雨天時に就眠運動をする。 葉腋の少し上に直径7mmほどの黄色い花を1-2個つける。花柄は0.5-1.5cm、萼の基部に小苞がある。萼は5全裂し、裂片は長さ5-6mmの狭卵形で縁は膜質、先はとがる。花弁は5個で長さ6-7mmの倒卵形、マメ科には珍しくウメの花のようなほぼ同形同大で蝶形花にならない。花弁はあまり開かない。この仲間はジャケツイバラ亜科として区別され、マメ科の中では原始的な形を残しているものと考えられている。雄しべは退化して4個しかなく、ときに仮雄しべがある。 豆果は長さ3-4cm、幅5-6mmの扁平な長方形で斜め上向きにつく。表面に伏した短毛があり、黒褐色に熟して2片に裂けて果皮がらせん状にねじれ、音を立てて種子をはじき飛ばす。果柄は長さ6-8mm。種子は黒褐色で光沢があり、長辺3.5-4mm、短辺2.5-3mmの扁平な平行4辺形で8-12個入っている。 漢方で、果実のついた全草を山扁豆(さんぺんず)といい、利尿、緩下剤として用いる。全草を軽く炒ったものは香ばしく、薬効もあるのでまめ茶、ねむ茶、はま茶、こうぼう茶、くさ茶、だら茶などとよんで茶の代用とする。 カワラケツメイもかつては普通に見られたというが、現在は少ない。絶滅危惧種の蝶であるツマグロキチョウは本種のみを食草とし、その絶滅リスクはカワラケツメイの消長にかかっているといわれてきたが、新しい外来種であるアレチケツメイが東海地方を中心に殖えており、同様に食草になるのだという。アレチケツメイは北アメリカ、西インド諸島原産で、最下の花弁が大きいこと、葉柄の蜜腺に柄があることなどの違いがある。 クサネムと雰囲気が似ているが、クサネムの茎は上部は中空で軟らかく無毛、小葉は先が円く、花は蝶形花。豆果は裂開せず、節ごとに分かれて落ちる、 花期:8-10月 分布:本・四・九 撮影:2019.9.5 神奈川県平塚市 |
日当たりのよい河原や草地に生える。 2019.9.5 神奈川県平塚市 芽が出てから間もない頃。 2019.5.24 神奈川県平塚市 葉腋の少し上に1-2個の黄色い花をつける。 2019.9.5 神奈川県平塚市 花弁は同形同大で蝶形花にはならない。雄しべは黄色で4個しかない。 2019.9.5 神奈川県平塚市 茎はやや硬く、葉は互生。 2019.9.5 神奈川県平塚市 小葉は15-35対で先はとがる。 2019.9.5 神奈川県平塚市 葉柄の上端に無柄の蜜腺がある。 2019.9.5 神奈川県平塚市 托葉は1対あって細長く、先が鋭くとがる。 2019.9.5 神奈川県平塚市 未熟な豆果。 2019.9.17 神奈川県平塚市 熟すと黒褐色になる。 2021.10.14 横浜市南区 熟した豆果は果皮がねじれて種子がはじき飛ばされる。 2019.9.17 神奈川県平塚市 |
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